──第1回のインタビューで、「いろいろなマスクを被ることができるアーティストになりたい」と言っていた亜咲花。2019年1月9日にリリースされたミニアルバム『19BOX』は、その言葉通りの1枚となった。

「10代の最後に形になるものを残しておきたくて作ったミニアルバムです。ジュークボックスと読むタイトル通り、今の亜咲花のいろいろな表情を詰め込みました。ジャズロック、ダンスミュージック、バラードと、ジャンルの違った7曲が収録されているので、みなさんにも、その日の気分で聴きたい曲を選んでいただけるんじゃないかなと思います」

──前半の3曲が録り下ろし新曲、後半の4曲が今まで歌ってきたゲームなどのタイアップ曲の初CD化という内容。注目は1曲目に収録されている「KILL ME One More Time?」。80年代風のおしゃれなジャズロックナンバーで、亜咲花自身が作詞を担当した。

「アニメタイアップ曲のシングルとはまた違う、亜咲花の別の一面を知っていただきたくて、ジャズロックに挑戦しました。歌詞のテーマは、一筋縄ではいかない大人の恋愛です。強気に振る舞っている女性が、恋愛の渦の中で、だんだん消耗していく姿を描きました。タイトルからして『もう一度、私を殺して』というドキッとさせるものですが、『もう一度、私を射止めて』という意味も隠してあって。歌詞にも大人の恋愛を想像させるような過激な言葉を、たくさん散りばめているんです。〈遊戯びじゃ満足できない〉とか、〈隠し事(ひみつ)はバレなきゃ 誰も気づかない〉とか、19歳の私ではない背伸びした気持ちで書いていきました」

──もともとハスキーな声質の亜咲花は、ジャズロックにぴったりマッチ。大人の女性を装っ歌声は、「Open your eyes」のかっこよさとも「SHINY DAYS」の明るさとも違っていて、確実に彼女の新たな一面が出た曲となった。

「ファンのみなさんはすごく喜んで、『亜咲花、最高!』って言ってくださいました(笑)。艶があるとか、クールだとか、今までと違う誉め言葉をいただけて嬉しかったです」

──得意の英語をふんだんに盛り込んだ歌詞には、秘密が隠されているという。

「日本語6割、英語4割を意識しながら作詞したんですけど、日本語の部分は主人公の女性が表に出している強気な態度、英語の部分はその裏にある弱気な心を描いているんです。パッと聴いてまず日本語が耳に入ると、強気な女性の歌だと感じると思うのですが、歌詞を見ながら二度三度と聴くと、主人公の本心が分かってくるという仕組みになっています」

──ライブステージがあるバーを舞台にしたミュージックビデオでも、大人っぽい表情を見せている亜咲花。

「今回のMVは男性と女性の役者さんに出演していただいて、ストーリー仕立てになっています。お二人が演じるドラマの中に私の歌が入り込んで、カメラの視点が切り替わる度に、女性の強気な外見と弱気な本心が見えるような構成が映画みたいで、とても気に入っています。タイアップ曲ではないMVは初めてだったので、アーティスト亜咲花の世界観を存分に引き出していただきました」

──ということは、自分らしいMVに仕上がったということだろうか?

「自分らしいかと言われると、そうじゃないですね。かなり着飾って背伸びをしているので(笑)。でも、やりたいことができたという気持ちはあって、ファンのみなさんにも、それを受け止めてもらえたのが嬉しかったです。私より年齢が上の方が多いので、『亜咲花ががんばって、大人の女性を演じてるな』って、温かく見守ってくださっているのかなって思います(笑)」

──ちなみに今日の撮影の衣装は、MVのライブシーンで身につけていたものだ。

「『19BOX』のジャケットとMV用に作っていただいた衣装に、ライブ映えするようにアレンジを加えていただきました。もともと黒一色だった衣装に、ゴールドが入ったんです。『KILL ME One More Time?』は夜のネオンを感じさせる曲でしたが、これでますますネオンみが増えました(笑)」

── 一方、『19BOX』では、今よりもちょっと若い彼女の歌声も聴くことができる。

「4曲目に収録されている『valkyrie PARTY』は、高校3年生の時の冬休みにレコーディングした曲です。私が初めて作詞させていただいた曲で、学校の課題に追われながら書いていきました。たった1年ちょっと前のことですが、今となっては懐かしいです。4曲目から7曲は制作順に並んでいるので、私のボーカリストとしての成長も感じていただけるんじゃないかなって思います」

──また、『19BOX』はラブソングにも注目して聴いてほしいと、亜咲花。

「7曲中3曲がラブソングで、しかも全くタイプが違う恋愛を歌っているんです。『KILL ME One More Time?』が一筋縄ではいかない大人の恋愛だった一方で、5曲目の『CITYSCAPE』はめちゃめちゃ幸せな二人の歌。さまざまな困難を乗り越えた恋人達を、神様が天から祝福しているような曲で、私も二人を優しい目線で俯瞰しているようなボーカルを心がけました。最後に収録されている『Place of promise』は、冬から春にかけて聴くのにぴったりの温かい曲なんですけど、実はガールズラブゲームのオープニングテーマなんです。女の子と女の子の恋愛に限定して歌ってしまうと、イメージを狭めてしまうと思ったので、男女でも同性同士でも、聴き手のみなさんに自由に大好きな人のことを思い浮かべていただけるようなボーカルを目指しました。そういう意味では、恋愛を大きく括った曲になったと思います」

──3月23日からは、東名阪を巡る『19BOX』のライブツアーがスタートする。

「私にとって初めてのツアーです。念願がまた一つ叶いました! 『亜咲花 1st Tour 19BOX 〜Once In a Blue Moon FMA〜』というタイトルは、10代最初で最後のツアーという一度しかない奇跡を、みなさんの目に焼き付けたいなという想いで名づけました。最後のFMAってどんな意味? ってよく尋ねられるんです。今までもライブタイトルに3文字略語を使っていて、高校卒業のタイミングではLJK(ラスト女子高生)、19歳の誕生日のタイミングではLTB(ラスト・ティーン・バースデイ)だったんですね。今回はどうしようかなと思ったんですけど、シンプルにファースト・ミニ・アルバムの略にしました。深い意味はないんです、ごめんなさい(笑)」

──ツアーは地元・名古屋からスタートする。

「それが嬉しくて! 地元のみんなに背中を押してもらって、ツアーを始めることができそうです。それから今回とても楽しみなのが、街ごとにどんな盛り上がり方をして、どんなリアクションが返ってくるか、なんです。アニソンアーティストの先輩方にライブについて教えていただくと、土地によってかなり反応が違うよって、みなさんおっしゃるんですね。今までワンマンライブは東京でしかやっていなかったので、ツアーでは、私の対応力が試されることになるなって。私がボケたら、みんなちゃんと笑ってね! って、この場でも言っておきたいと思います(笑)。セットリストや、恒例のアニソンカバーコーナーの曲も、街ごとに変えていけたらいいなと思っているので、ぜひ遊びに来てください」

──最後のコメントで出てきた「アニソンアーティストの先輩方」という言葉。それをフックに、次回は「アニソン界に対する思い」について語っていただこう。

インタビュー第3回
「アニソン界は、あたたかい世界です」は
3月20日(水)掲載予定です。