──「STAND UP」「真夏BEAT」という2枚のシングルを経て、2019年3月27日に待望の1stアルバム『FIGHTER』をリリースした畠中 祐。CDにはインストゥルメンタル2曲を含む全12曲が並び、初回限定盤に付くDVDにはリード曲「Fighting for...」のMusic Videoとメイキング映像を収録。アーティストとして、さらなる進化を見せる作品となった。彼自身は、どのような思いでアルバムを作り上げていったのだろうか?

「1年くらい前のことかな、プロデューサーと打ち合わせをしている時に、今、抱えている悩みについて話したことがあったんです。当時の僕は、自分の中の曲げられない気持ちと周囲の考え方とのギャップに悩んでいて、そのことを話したんですね。仕事や普段の人間関係の中で、『いや、僕は、その考え方ややり方はどうしても受け入れることができません』と思う瞬間って、どうしてもあるじゃないですか。そんな時、全部反発していたら物事は円滑に進んでいかないだろうし、逆に流され過ぎると自分を見失ってしまうんじゃないかという葛藤があって、今、ちょっと苦しいんですと。そうしたらプロデューサーが、『それって、戦ってるということだよね』と言ったんです」

──この時の会話が、1stアルバムの出発点となった。

「僕のその感覚は、20代前半の今だから感じられることかもしれないし、とても大事なことだから、音楽活動にも反映させていきたいというのが、プロデューサーの考えで、それが形になったのが1stアルバムの『FIGHTER』です。今は苦悩の時期を乗り越えられたと感じているんですけど、あの頃の『悔しい』『なんでだよ!』という感情は、僕自身、忘れちゃいけないと思うし、苦悩の中にいる自分を否定せずに前に進んでいこうという気持ちで、アルバム制作に打ち込むことができました。このアルバムには、僕の戦いやチャレンジがたくさん入っているんです」

──アルバムはダンサブルなインストゥルメンタル「Let's get ready to rumble!」からスタート。続く2曲目がリード曲の「Fighting for...」だ。

「プロデューサーに話した時の感情が全て詰まっている、アルバムの顔となる曲です。僕の思いや具体的なエピソードを書き綴ったメモをもとに、坂井竜二さんが歌詞を書いてくださいました。僕が直接作詞したわけではないんですけど、僕そのものという歌詞で、レコーディングでも気持ちがこもって、思い入れの強い曲になりました」

──挫折や苦悩を乗り越えて、〈さぁ 何度だって 睨みつける〉と戦う姿勢を貫き通す、力強いボーカル。Music Videoも楽曲のコンセプト通り、硬質かつスタイリッシュな映像となった。2タイプある衣装のうち、フードを被るラフなスタイルの方は、若さの中でもがき戦う等身大の姿を連想させる。そして、スーツ姿の方は、今までに増して男らしさに溢れている。

「ラフな衣装は、ストリート系のファイターというイメージですね。そして、ジャケット写真でも身につけているスーツの方は戦いに臨む正装です。アーティスト活動の時の僕はいつも雄々しい感じになるんですけど、今回は今までで最強です」

──ジャケット写真には、キッと正面を睨む凜々しい表情が写し出されている。

「荒れ果てたスクラップ工場での撮影で、迫力のある写真を撮っていただきました。撮影の時に受けたディレクションは、『マフィアのボスになったつもりで!』だったんです。足下にはやられた敵が転がっていて、戦いの場に君臨するボスの表情をして、と言われて、え、難しいです、と(笑)。でも、自分の中のイマジネーションを駆使して、強い男を演じました。あんなにカメラを睨んだことは初めてでしたね」

──新曲としていろいろなジャンルの曲が集められ、それらを歌うことは全てチャレンジになったという。たとえば、5曲目に収録されている「Addicted」。

「8割がた英語詞の曲です。作詞していただいたLotus Juiceさんはアメリカで暮らした経験のある方で、彼から発音のレッスンを受けてレコーディングに挑みました。『短時間でネイティブの発音を身につけるのは無理だけど、僕がOKと思える水準までは絶対に持っていくから、一緒にがんばろう』と力づけていただいて、英語で歌うというハードルを越えられたと思います」

──「Addicted」では、ラップにも挑戦。クールなサウンド感のR&Bを、見事にリズムに乗って歌いこなしている。

「作曲・編曲は村山晋一郎さんで、宇多田ヒカルさんの曲を書いている方なんです(他にも、平井堅、crystal Kay、三浦大知、May J.など多くのアーティストの楽曲を手掛けているクリエーター)。僕は、宇多田ヒカルさんの初期の曲を特に聴いていたので、村山さんが書いてくださったということだけで、テンションが上がりました。英語の響きと楽曲がベストマッチだったので、これは僕も英語で歌わないと、と決心しました」

──戦いをテーマにした曲のなかで、「オド☆リバ~MUSIC IS MAGIC!~」や「プラマイプラス」のような、明るく爽やかな楽曲も収録されている。

「アルバム用の新曲の歌詞のヒントになればと思って、僕が書いてお渡しした言葉がことごとく重かったんですけど、それを反映してばかりじゃ、聴き疲れするアルバムになってしまうだろうと(笑)。それで爽やかな曲、等身大の曲も入れることにしたんです。ファイトにも様々な種類があるということですね。「プラマイプラス」は日常の小さなファイトを歌った曲で「オド☆リバ~MUSIC IS MAGIC!~」は弱さやネガティブな部分を開き直った曲。どちらも肩の力を抜いて歌うことができました」

──「オド☆リバ~MUSIC IS MAGIC!~」には、〈熱血ポジティヴ 気取ってても 内心はこんなに ビクビクさ〉という等身大の彼を表現した歌詞もあり、余裕を感じさせる。また、「STAND UP」「真夏BEAT」といったシングル曲も収録。アーティストデビューしてから今まで、挑戦を続けてきた畠中 祐の現在地を示すアルバムになった。

「アーティストデビューしてから今まで、苦手だなと思えることでも果敢にチャレンジしてきて、本当によかったと思います。挑戦が作品となって形に残ると、じゃあ次は何をしようか、その次は? とステップアップしていくことができると思うんです。まずは勇気をもって一歩を踏み出そうと思ってやってきた、その成果が『FIGHTER』です」

──そして、アルバムのクライマックスは自ら作詞した「あの日の約束」。次回は、初めての作詞と、夏の1stライブにかける思いに話題を進めていく。

インタビュー第4回
「初めての作詞とワンマンライブ――伝えたい思い」は
4月24日(水)掲載予定です。

インタビュー・構成=鈴木隆詩