──戦いをテーマに、楽曲ごとにチャレンジを繰り返して生まれた1stアルバム『FIGHTER』。ボーカル曲としてのトリを飾るのが、畠中 祐作詞によるバラード「あの日の約束」だ。

「今、僕が歌詞にしてみんなに伝えたいメッセージってなんだろう? と考えた時、すぐに思い浮かんだのが『感謝』でした。アーティストデビューして1年半しか経ってなくて、しかも1stアルバムなのに『感謝』って早くない? とプロデューサーは笑っていたんですけど、やっぱり今までの人生を振り返ると、たくさんの人に支えられたからこそ、ここまで来ることができたという思いがあったんです」

──小学生の頃に声優の世界に飛び込んで、10年以上の時がすでに流れている。それを思えば、決して『感謝』を歌うことは早くはない。それだけの積み重ねが彼にはある。

「中学高校時代に一緒に青春を歩んできた仲間にも感謝したいし、16歳の時に、その重みも分からずに初めてのTVアニメの主役に浮かれていた僕に、『自覚を持て』と渇を入れてくれた先輩、仕事をしながら大学での学業を優先させるのを許してくれた事務所のみなさん、大切な役と運命的な出会いを果たしてきたアフレコ現場で、芝居を通していろいろなことを教えてくれた先輩方、もっとやれるだろうと背中を押してくれた監督さんや音響監督さん、なによりも僕を応援してくれているファンのみなさんと、本当にたくさんの人に支えられて歩いてこられたんだなと。人生を振り返る年齢ではないんですけど、今一番伝えたい気持ちは、やっぱりこれだなと思いました」

──作詞は初挑戦。実現のために越えなければならないハードルがあった。

「プロデューサーから、まず1番の歌詞だけ書いて見せてくださいと。もしダメだったら、プロの作詞家さんの力も借りようかと言われていました。それで年末年始の宿題として、1番の歌詞を書き上げて提出したら、思いのほか良かったと。だけど、主観に寄りすぎているねって指摘されたんです」

──主観に寄りすぎているというのは、どういうことなのか?

「歌詞には自分のメッセージを伝えるだけでなく、リスナーさんが自分に置き換えて聴くことができる普遍性が必要だということなんだと、僕は理解しました。最初に書いて提出した歌詞は、僕自身が持つ一つのカメラでしか物事を見てなかったんです。自分だけじゃなくて他の目線からどう見えるか、いくつものカメラで物事を捉えることを考えなさいとアドバイスされました。そこからいろいろな視点を付け足して、言葉の含みを持たせながら、素直な自分の気持ちを書いたのが完成形の歌詞です」

──その言葉通り「あの日の約束」は、「感謝」の曲としても聴けるし、ラブソングと捉えることもできる、解釈の幅の広い曲になった。

「ラブソングにも聞こえると最初に指摘された時は、自分自身びっくりしたんですけど、それだけいろいろな捉え方ができる歌詞になったということなんだと思います。僕にとってすごく嬉しいことで、この曲を書けたことで、もっと書きたいという気持ちが生まれてきました。作詞は奥が深くて面白い。今後に繫げていきたいですね」

──楽曲制作に加えて、アーティスト活動のもう一つの軸となるがライブだ。

「前にお話しした通り、僕はアニソンに詳しくなくて、アニメ系のアーティストや声優の先輩方がどんなライブをおこなっているか、全く知らなかったんです。アーティスト活動を始めるにあたって勉強させていただこうと思って、最初に行ったのが『キラフェス(Kiramune Music Festival)』でした。そこで見た入野自由さんのパフォーマンスがかっこよくて、これほどまでにレベルの高いアーティスティックなことを、先輩方はやっているんだと衝撃を受けました。自分もこんなステージに立ってみたいと」

──アーティストデビューして最初に経験した大きなステージは、2017年夏の『おれサマー(Original Entertainment Paradise ORE SUMMER)』。『おれパラ』10周年の夏に開催された大型野外フェスだ。

「1年半前の夏ですね。今回、ANiUTaさんでその時の映像が公開されますが、圧倒的にあがってました。2曲披露させていただいたんですけど、曲間の水分補給を忘れて2曲目は喉がカラカラで、歌いきれるのかドキドキしていましたね(笑)。でも、先輩方のステージを間近で見ることができましたし、フェスの一体感をナマで体験できて、貴重な経験になりました」

──周囲には、アーティストとして活躍する多くの先輩声優がいて、日々、刺激を受けているという。

「『おれパラ』の4人のホスト(小野大輔、鈴村健一、森久保祥太郎、寺島拓也 )のパフォーマンスは、何度見てもため息が出るほどかっこいいです。声優であることと歌うことが密接に結びついているからこその説得力を感じました。谷山紀章さん(GRANRODEO・KISHOW)や林勇さん(SCREEN mode・勇-YOU-)のロックなステージも、最高に歌が上手くてすごい。宮野真守さんのエンターテイメント性溢れるパフォーマンスにも憧れますし、最近見た柿原徹也さんのライブでは、ファンが求めるものを届ける大切さを学びました。同世代にもすばらしい声優アーティストがいて、みなさんの音楽活動に注目しています」

──その中で、確固たるスタイルを持って戦っているのが畠中 祐だ。

「自分にしかできないことは何だろうと、常に模索しながら活動していきたいと思います。歌やダンスの技術を高めるだけでなく、あらゆる角度から自分の可能性を追い求めていきたいなと。最近痛感しているのはMCの重要さですね(笑)。今、自分は何を伝えたいか、ステージでもしっかり言葉にしてきたいと思っています」

──2019年7月27日に1stワンマンライブを開催することが決定している。そこではどんな姿を見ることができるだろうか?

「小心者の自分がいて、正直、1stワンマンにも不安を感じているんです。みんな来てくれるかなとか、最初から最後までやりきれるかなとか。でも、当日は、アーティスト畠中 祐として全力で走り抜けたい。僕の世界にみんなを引っ張りこんで、気づいたら声も出しちゃったし、踊っちゃったぜ! という楽しいライブにしたいです。自分のプライドを賭けて1stワンマンに臨むので、よろしくお願いします!」

 インタビュー・構成=鈴木隆詩