──声優デビュー10周年を越え、ますます精力的に活動する内田 彩。『ラブライブ!』のμ'sのメンバーとしての活躍を筆頭に、さまざまな作品に出演して多くのキャラクターソングを歌ってきた。声の芝居を基本にしつつ活躍の場が多岐に渡る、現在の声優の流れのまん中を通ってきた一人だ。インタビュー第1回はリラックスした雰囲気の中、子供時代から声優を目指すまでを振り返ってもらった。

「地元が群馬でも田舎のほうだったので、自然が豊かな環境で育ちました。子どもの頃は本当に野山を駆け回っていた感じで、外で遊ぶのが大好きな子だったんです。でも人見知りな一面もあって、野山で遊んでいる時はのびのびしていたんですけど、人前に出ると急に恥ずかしくなる子で(笑)。一人で遊んでいる時が一番楽しかったかもしれません」

──内田 彩が生きてきた時間は、ほぼ平成時代と重なり合う。子供の頃に見ていたアニメも、もちろん平成の人気作品だった。

「小学生の頃はみんなと同じように、『ポケットモンスター』とか『ちびまる子ちゃん』といった子供向けのアニメを見ていました。学校から帰ってくるとTVをつけて、夕方にやっていたアニメを見るんです。祖父がNHKの相撲を見るのでチャンネルの取り合いでした(笑)。特に好きだったのは『美少女戦士セーラームーン』のような、女の子が変身して戦う作品です」

──その頃の思い出として今でも残っているのが、実家にしまわれている玩具だという。

「まだ、どこかにあると思うんですけど、お誕生日やクリスマスのプレゼントに好きな作品の玩具を買ってもらっていました。『セーラームーン』の変身ブローチとか、それからあの頃は、日曜朝の特撮番組にも女の子が主人公の作品があって、好きで見ていたんです。『うたう!大龍宮城』という作品の変身グッズのフルートも買ってもらった記憶があります。それから『となりのトトロ』の猫バスですね。ジブリ作品もよく見ていて、特に『トトロ』は大好きでした」

──『となりのトトロ』についての思い出を聞いてみると、やがて声優になる素養がうかがえるエピソードが返ってきた。

「今では古い言い方になってしまいましたが、ビデオテープがすり切れるくらい『トトロ』を繰り返し見ていたので、劇中に出てくるセリフを全部覚えてしまったんです。妹がいるので、二人でサツキとメイになりきって、ごっこ遊びをしていました。家の周りは『トトロ』の世界そのものという自然がたくさんあったので、どんぐりを集めたりして。母も巻き込んで、サツキ達のお父さんやお母さんの役をやらせていたらしいです」

──アニメのエンディングで、声の出演として、たくさんの名前が書かれていることに気づく。それが「声優」を意識した最初だった。

「アニメを見ていると、声の出演に同じ名前があることに気づいたんです。あ、この作品にもこの人が出てるって。声優をもっと身近に感じるようになったのは中学に上がってからですね。アニメ好きの友達ができて、その子にアニメ雑誌や声優雑誌を見せてもらったんです。声優の専門誌があることにまずはびっくりして、声優さんが写真付きで紹介されていたので、この名前の人はこんな人だったんだなって思っていました」

──中学時代には、早くも声優のオーディションを経験している。

「アニメ雑誌や声優雑誌には、声優の専門学校やオーディションの広告がたくさん載っていて、自分も目指すことができるんだって思ったんです。それが将来の道として、声優を意識した最初でした。初めて挑戦したオーディションは中学3年生の時で、アニメ雑誌と声優養成所のコラボ企画でした。声優になりたい、オーディションを受けてみたいと言った私に、一人で東京へ行くことを許してくれた母には感謝ですね。声優を目指すことについて、一度も反対されたことはありませんでした」

──本気で声優になりたいと思ったきっかけは、なんだったのだろう。

「まずは、女の子が変身するアニメや特撮といったジャンルならではの物語が、子どもの頃から好きだったということがあります。そういった作品に、もしかしたら自分も関われるんだと思うと嬉しくなって、この世界に入ってみたいなと思うようになりました。同じお芝居でも、女優さんになって表舞台に立ちたいという気持ちはまったくありませんでした」

──中学時代に体験したアニメイベントも、きっかけの一つだったという。

「アニメ雑誌を見せてくれた子に誘われて、イベントを見に行ったことがあって、声優さん達が目の前で生アフレコをされている姿に感動しました。お客さんの一体感もすごくて、こんなふうに同じ作品のファンが集まってみんなで盛り上がれる場が、アニメ・声優の世界にはあるんだなって思いました。ですから、その子と出会わなかったら、今の私はなかったかもしれません」

──きっかけは友達から与えられたとしても、声優になるという願いを実現させたのは彼女自身だ。

「その友達は地元で暮らしていて、たまに会うんですけど、私が声優になったことについて、『まさか、ね』という話をよくされます(笑)。私のライブやイベントがあると、今でもよく見に来てくれるんです」

──声優デビューは、2008年のTVアニメ『おでんくん』。この作品には大切な思い出がたくさんあるという。次回は声優・内田彩の10年について、たっぷり語ってもらおう。

インタビュー第2回
「初挑戦ばかりで、当たって砕けろ精神が養われました」は
5月15日(水)掲載予定です。