──中学3年生の時に初めて声優オーディションを受けた内田 彩。高校入学後はそれを続けることはなかったが、卒業後の進路を決めるにあたって、やっぱり声優になりたいという気持ちが再燃したという。

「高校卒業後は声優の専門学校に入ったんですけど、それだけだと声優になるのは難しいなと思って、いくつかの養成所にも合わせて通っていました。その一つが最初に所属した事務所がやっていたところで、お仕事をいただけることになったんです。『おでんくん』という作品で、これが私のデビュー作になりました」

──『おでんくん』は、NHK教育テレビの番組『天才ビットくん』内のアニメコーナーで2005年に始まったアニメ。おでん屋台の鍋の中にある「おでん村」に住んでいる、おでんの妖精たちの毎日を描いた、ふわふわでシュールな作品だ。内田は2008年から、この作品に参加する。

「すごく楽しい現場で、この作品でデビューできてよかったなって、今でも思っています。最初はガヤから入って、名前のない役をいろいろやらせていただきました。主人公のおでんくんを女優の本上まなみさんが演じていて、他のキャラクターも、お笑い芸人さんだったり、女優さんだったり、本職の声優さんだったり、いろいろな方がいたんです。バイタリティのある方々ばかりで、面白いお芝居のぶつかり合いになっていて、収録中に笑いをこらえるのが大変でした」

──『おでんくん』の出演によって、正式に事務所と契約した彼女は、いよいよプロの声優の道へ。初めて名前付きのキャラクターを演じたのは、2009年の『空を見上げる少女の瞳に映る世界』。京都アニメーションの作品だ。

「『空を見上げる少女の瞳に映る世界』では、主人公の弟役(日高 力)をやらせていただきました。出番もセリフも少なかったんですけど、めちゃくちゃ緊張したのを覚えています。この作品では、WEBラジオにレギュラー出演させていただいたんですけど、もちろん右も左も分からなくて。その時に、「うっちー、ラジオはしゃべらなきゃダメだよ。うなずいているだけじゃなくて、声を出して」とアドバイスしてくださったのが、ランティスの斎藤滋プロデューサーでした」

──『空を見上げる少女の瞳に映る世界』の音楽プロデューサーを務めていた斎藤氏。ここから縁がつながり、初の主演作となる『キディ・ガーランド』に続いていく。

「『キディ・ガーランド』はTVアニメ初レギュラーなのにいきなり主演をいただくことになって、すごいプレッシャーを感じていました。でも、私が演じたアスクールは、元気で天真爛漫な子だったので、役に助けられた気がします。私がビクビクしていたらキャラクターの良さが死んでしまうし、ド新人なんだから、今の私は失敗したって大丈夫、恐いものなんてないぞという気持ちになったら、思い切ってやることができました。1話のアフレコには、キャラクターデザインの門之園恵美さんがいらっしゃっていたんですけど、収録の後に『よかったです』と声をかけていただけて。今でも鮮明に覚えているくらい嬉しかったです」

──『キディ・ガーランド』のアスクール役は、彼女にいろいろな仕事をもたらすことになった。

「Webラジオのパーソナリティは二度目でしたが、イベント出演はこの作品が初めてでした。それからDVDの特典映像のためにロケに行ったり、キャスト同士でバラエティ的なコーナーをやったり、声優のお仕事ってこんなにいろいろあるんだと知って、私の当たって砕けろ精神がフルに発揮された作品になりました」

──『キディ・ガーランド』で初挑戦したものが、もう一つあった。キャラクターソングだ。

「最初に歌ったのは、オープニングテーマの『Baby universe day』とエンディングテーマの『太陽と月』でした。『太陽と月』はふわふわな、ゆっくりとしたテンポの曲でアスクールのイメージにも合っていたので、キャラクターの良さを出しながら歌うことができたんですけど、『Baby universe day』は難しかったです。畑亜貴さん作詞、黒須克彦さん作曲のめちゃくちゃかっこいい曲で、アスクールの声で歌うにはキーが低めでしたし、さらにダブル主人公であるク・フィーユ役の合田彩さんとのデュエットだったんです。全部が初挑戦という感じの曲でした。」

──『キディ・ガーランド』では、他にもキャラクターソングを数多く歌い、今に至る基盤となったと振り返る。

「経験がなかったからこそ、素直にぶつかっていけたと思います。深く考え込むよりは、取りあえずやってみようと思うタイプで、本番にはけっこう強いんです(笑)」

──そして、『キディ・ガーランド』が終わると、みたび、斎藤プロデューサーが関わる作品から声がかかることに。それが『ラブライブ!』だった。

「今から思うと、デビューして2年くらいで『ラブライブ!』を始めているんですよね。最初は、こんな大きな作品になっていくなんて想像もしていませんでした。私は中学時代に『シスター・プリンセス』が大好きだったので、『ラブライブ!』の第一印象は、『シスプリ』と同じ公野櫻子先生の原作で、『電撃G'smagazine』発信の企画なんだということでした」

──『シスプリ』は、初めて好きになった萌え系の作品だったという。

「かわいい子がたくさんいるなーって思って、どちらかというと男性向けの作品だった『シスプリ』にハマっていきました。初めてアニメイトさんに行って、キャラクターグッズを買ったのもシスプリで、声優さん達が歌うCDも聴いていました。そんな公野先生の新しい企画に、私がイチからキャストとして関わることができるんだというのがすごく嬉しくて。お話をいただいた時から心躍っていました」

──しかし、『ラブライブ!』には、今までの作品にはない難しさがあった。それは何だったのか?第3回に続きます。

インタビュー第3回
「私達が先陣を切る!という思いだった『ラブライブ!』」は
5月22日(水)掲載予定です。

インタビュー・構成=鈴木隆詩