──お世話になった祖母に、少しでも早く恩返しができるようになりたい。そんな気持ちから声優を本格的に目指し始めた鬼頭明里。高校を卒業すると、実家から東京の声優養成所に通い始めた。

「養成所は週に一回だったので、名古屋と東京の往復ができると思っていたんです。ところが、通い始めてそんなに時間が経たないうちに、オーディションの話をもらえるようになってきて、東京に行かなきゃいけない回数が増えたんですね。新幹線代を考えるとこれはもう東京に住んだほうがいいと思って、単身上京を決めました」

──養成所に通い始めたのは2013年10月。翌年の夏に放送されたTVアニメで、早くも名前のある役をもらう。声優になるための勉強を始めて1年も経たないうちの快挙だ。

「TVアニメでのデビュー作になったのが、2014年7月スタートの『六畳間の侵略者!?』でした。オーディションで受けた役には落ちてしまったんですけど、その後、藍華真希役でお願いしますという連絡をいただいたんです。メインキャラの一人(虹野ゆりか)のライバル的な役どころで、セリフもそれなりに多かったですし、なによりも現場でどんなふうに行動したらいいのか全然分からなくて、毎回テンパってました」

──『六畳間の侵略者!?』は、アパート暮らしを始めた高校生・里見孝太郎の部屋に、女の子の侵略者たちが次から次へとやって来るというストーリー。藍華真希は悪の魔法少女ダークネイビー真希として、孝太郎たちの前に姿を現す。大事な役どころであり、初めて体験するプロの現場。緊張しないほうがおかしい。

「お芝居も難しかったんですけど、まず、自分が社会人であるということ自体に慣れてなかったんです。社会人として仕事をするということは、すごく厳しいことで、絶対に怒られるって思っていて(笑)。お芝居をするという以前に、スタジオにいる大人のみなさんが怖いという感じでした。本当は怖い人なんて誰もいなかったんですけど、勝手にそう思い込んでビクビクしていました(笑)。 でも、事務所の先輩の長妻樹里さんも出演されていて、現場ではすごく優しくしてくださって。ブースの中でいつも隣に座ってくださったり、「こんなときはこうすればいいんだよ」って細かく教えてくださったり、本当にお世話になりました」

──大変なことがありつつも、順調なスタートだったのではないだろうか?

「でも、そこからしばらくはそんなに仕事をいただけることもなくて。初めてTVアニメでヒロインを演じさせていただいたのが、『タイムボカン24』(2016年10月スタート)のカレンでした。現場は大先輩ばかりですごく勉強になりましたし、夕方帯の子供向けアニメに出演できたのも嬉しかったです。親戚の子供たちが「観たよ」って言ってくれたりして、手応えを感じました。しかも、続編の『タイムボカン 逆襲の三悪人』を含めると合計で4クールもあって、一つの作品にじっくり取り組むことができました」

──2017年になると、TVアニメ『ようこそ実力至上主義の教室へ』のヒロイン・堀北鈴音役など、メインキャラクターを演じることが増え、多忙な日々を送ることに。また、キャラソンを歌う機会も増えてきた。

「最初に歌ったキャラソンは、『Re:ステージ!』のKiRaRe(キラリ)というユニットでした。雑誌の連載から始まったメディアミックス作品で、まさか自分がMVに出演することになるとは、と思いました(笑)」

──『Re:ステージ!』は、小説から始まり、CDリリース、TVアニメ化とメディアミックスを展開してきたシリーズ。KiRaReはメインキャラによるアイドルグループで、鬼頭はそのうちの一人、月坂紗由を演じている。3rdシングルの「憧れFuture Sign」で、声優陣が顔出ししての初のMVが撮影された。

「ダンスがメインのMVだったので、とにかく大変でした。それに、またまた右も左も分かってなくて、「リップシンクってなに?」みたいな状態で(笑)。メンバーの中に一人だけMVの経験がある子がいたので、いろいろ教えてもらいながら一生懸命やりました」

──それ以降もさまざまな作品の声優ユニットに参加。ライブ経験も豊富で、アニメロサマーライブのステージも、すでに2度経験している。

「2018年は、『ウマ娘プリティーダービー』、今年は『虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会』のメンバーとして出演させていただきました。『ウマ娘』のときは客席を走り回ったりして楽しかったですね。今年は去年よりもメンバー数が少なかったので、ステージが広く感じました」

──アニサマの思い出を楽しそうに振り返る彼女。2万人を越える観客の前でパフォーマンスすることに緊張はなかったのだろうか?

「緊張はなかったですね。メンバーがいるので、「お客さんはみんな、他の子を見てるんでしょ?」と考えるタイプなんです(笑)。それにステージからの眺めがとても綺麗でした。ステージの上の私たちはお客さんに眺められる立場ですが、実は私もお客さんのことを眺めていて、みんなの顔を見られるライブは大好きです」

──それにしても、この2,3年の間に、キャラソンによって音楽活動の経験値を一気に上げてきた感がある。

「声優を目指したときから、歌の仕事もやってみたいとは思っていましたが、こんなに早く、こんなにたくさんの作品でやらせていただけるようになるとは想像もしていなかったです。私はもともとモノマネをしながらカラオケするのが得意だったので、キャラソンはその延長線上という感覚でした。いろいろなキャラになりきって歌うのは、今もすごく楽しいです」

──では、キャラになりきって歌うのではなく、自らの表現についてはどう考えているのか? 第3回からは、いよいよアーティストとしての一歩を踏み出した思いについて語っていただきます!

インタビュー・構成=鈴木隆詩

インタビュー第3回
「アーティスト活動はロック寄りでいきたいと思いました」は
10月16日(水)掲載予定です。

★ 鬼頭明里さんのインタビュー記事はこちら! ★

● 第1回「子供の頃はケーブルテレビでアニメばかり観ていました」
● 第2回「最初のMV撮影は、右も左も分かりませんでした(笑)」
● 第3回「アーティスト活動はロック寄りでいきたいと思いました」
● 第4回「みんなを喜ばせたいというのが、私の表現の原動力です」

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