──「第36回ホリプロタレントスカウトキャラバン~次世代声優アーティストオーディション~」でグランプリを獲得し、声優の道を歩み始めた田所あずさ。しかし、声優の勉強をしたことは一切なく、何も知らないところからのスタートとなった。

「それまでの私は、学校に行って部活をやっていただけだったので、マネージャーには『お前はマイナス100からのスタートだ』と最初に言われました(笑)。お芝居と発声のレッスンに通い、ワークショップに参加して、地道に勉強を重ねていくことから始めたんですが、どれもすごく楽しかったです。好きなことをやれているという思いがありましたし、知れば知るほどお芝居の面白さに気づいていって、毎日が充実していました」

──声優としての最初の仕事は、企業のウェブCM。『サラダの国のサラ』という短いクレイアニメーションだった。

「主人公のサラを担当させていただきました。サラダランドのお姫さまという設定のキャラクターです。キャラに自分の声をあてるというのは、ずっと夢に見てきたことだったので、役が決まったときは感動しました。アニメの絵柄もかわいくて、ネットに公開されると、何回も何回も再生して喜びを噛みしめました。」

──時間を置かず、大役を任されることになる。TVアニメ『アイカツ!』のメインキャラクター、霧矢あおい役だ。

「役が決まったときは、何が起こってるのか分からないくらいびっくりしました(笑)。本当にド新人だったので、まさかTVアニメのメインの役をいただけるなんて思ってもみなかったです。でも、『アイカツ!』のスタッフの方は、私が何もできないということをオーディションの時点で分かった上で、選んでくださって。キャラクターとともに成長していってほしいという温かい眼差しを向けていただいていることを感じました」

──『アイカツ!』からは、いろいろなことを教わった。

「ゼロから声優という仕事について、学ばせていただけて、感謝しきれない作品です。現場の環境もとてもステキで、声優としてスタートしたばかりの頃に、この作品に出会うことができて、本当によかったです」

──アーティストデビューは2014年7月。いきなりフルアルバム『Beyond Myself!』をリリースしてのスタートとなった。

「CDデビューは『スカウトキャラバン』でグランプリを獲った時からの決定事項だったんですけど、その時期までははっきり決まっていなかったんです。マイナスからのスタートだということを、私自身も自覚していたので、まずは声優としてのスキルを磨くことが大事で、アーティストデビューはまだ早い、もっと自分に自信が持ててからにしたいという気持ちがありました」

──自分には、人に聴かせるレベルの歌を歌うことができるのだろうか、という不安がつきまとった。そんな中、制作は進んでいき、『Beyond Myself!』が完成する。

「今、聴き直すと若さ溢れるアルバムというか、何もわからないまま夢中でがんばっていたんだなって思います」

──後に、〈タドコロック〉という自分の音楽の軸を作り上げていく彼女。『Beyond Myself!』は現在の田所あずさの音楽性とは、かなり離れた作品になっている。

「周りの大人達がイメージした私の音楽、という感じのアルバムだったと思います。その頃は、自分の考えをうまく言葉にできなかったですし、私が意見を言うこと自体、許されないことなんじゃないかと思っていて。自分が本当はどういう人間なのかというのを、ちゃんと周りの人達に伝えられずにいたんです」

──自分がやりたいのは、爽やかでかわいいポップスではなく、「かっこいい」音楽だった。

「今やっているような音楽をやりたいという気持ちが、『Beyond Myself』を作っている頃からありました。でも、音楽を表現する言葉を知らなすぎて、ただ「かっこいい曲を歌いたいです」としか言えなくて。本当にあの頃の自分には、伝える力がなかったなって思います」

──その思いが初めて通じたのが、2015年9月にリリースした2ndシングル「君との約束を数えよう」。

「そこまで言うなら、一度自分がやりたいようにやってみなさい、と、お試しみたいな感じでチャレンジする機会を与えていただけたんです。私としては、このシングルがうまく行かなかったら、アーティストとしては終わりだぞという気持ちで、制作に臨みました」

──結果的に、「君との約束を数えよう」は、周囲の大人達を説得するに十分な出来となった。

「嬉しかったです。自分の意見を表明することはいいことなんだって思えるシングルになりました」

──自分自身の世界を表現する、本来の意味でのアーティスト・田所あずさが、ここに誕生した。

インタビュー・構成=鈴木隆詩

インタビュー第3回は
12月18日(水)掲載予定です。

★ 田所あずささんのインタビュー記事はこちら! ★

● 第1回 「初めての仕事は、オーディションでグランプリをいただいた直後でした」
● 第2回 「マイナス100からのスタートだと、マネージャーから言われました」
● 第3回 「激しいだけじゃなく、厚みのある歌も聴かせられるようになりたいんです」
● 第4回 「いいタイミングでショートヘアにできたと思っています」

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